ベトナムのGDP6%増 1~3月、消費と外資の輸出好調

【ハノイ=富山篤】ベトナムの1~3月の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比6.03%と前年同期の5.06%を上回り、第1四半期ではリーマン・ショック後最大となった。韓国サムスン電子など外資企業の輸出が好調を持続。原油安でガソリン価格などが下がり、個人消費も堅調だった。ベトナム政府が目標とする「2015年に6.2%成長」の達成も現実味を帯びてきた。

ベトナムの統計は集計期間を月末に合わせておらず、1~3月は昨年12月21日~今年3月20日を指す。

成長をけん引したのは製造業で9.51%成長だった。携帯電話関連の製造業が好調で、1~2月の鉱工業生産指数は前年同期比12%上昇した。1~3月の輸出実績を見ても、携帯電話が全体の2割近くを占め、衣料品・繊維製品を抜いて最大の輸出品目になった。

原油安の影響も大きい。消費者物価指数(CPI)はガソリン価格下落で昨年10月から過去最低水準で推移している。物価下落で懐に余裕ができた消費者が耐久消費財や高額品の購入に動いたとみられる。1~2月の大型店販売額は約13%増と高水準だ。2月の新車販売も前年同月比69%増だった。ベトナムはGDPの6割強を個人消費が占めており、その動向が経済成長を大きく左右する。

ベトナム版の整理回収機構である「ベトナム債権回収公社(VAMC)」による不良債権買い取りで、銀行の不良債権が減少したことも成長を後押しした。貸出金利も下がってきており、「企業が資金を調達しやすい環境が整ってきている」(ベトナムの邦銀幹部)。

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