ベトナム通貨1%切り下げ 輸出を後押し
【ハノイ=富山篤】ベトナム国家銀行(中央銀行)は7日、同国の通貨ドンの対ドル相場の基準レートを1%切り下げ、1ドル=2万1673ドンとした。即日実施した。切り下げは1月7日以来4カ月ぶり。中国からの輸入増などで1~4月は貿易赤字に陥っており、通貨切り下げで輸出を後押しし、貿易赤字解消をめざす。
切り下げ前の基準レートは2万1458ドン。1~4月半ばの貿易赤字は31億ドルだった。貿易赤字の主因は中国からの電子部品、縫製品の材料、食料品などの輸入増。南シナ海の領有権を巡って対立していることもあり、政府は中国依存を解消しようとしているが、国内の裾野産業が育っていないことなどから効果が出ていない。
輸出面でも縫製品、携帯電話の二大輸出品に陰りが見え始めており、2015年通年でも4年ぶりの貿易赤字になる可能性が高い。
ベトナムのインフレ率(消費者物価上昇率)は1月以降4カ月連続で1%を下回るなど落ち着きを見せている。ただ、通貨切り下げは輸入品の価格上昇を招き、インフレ要因となる。
ベトナムの為替制度は事実上、米ドルと連動するドルペッグ制を敷いている。国家銀行が為替変動幅を定め、ベトナムドンの実勢レートを考慮しながら、一定水準に保っている。
nikkei.com
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